蓋を開けてみると、レース展開は「カオス」に
駒澤大学の劇的な逆転優勝で幕を閉じた第97回箱根駅伝。ただ、レースを大きく盛り上げ、主役を演じたのは間違いなく出場4回目の創価大学だった。選手が見せた強豪校に劣らない強く、溌剌とした走りは、観ている人の心に刺さったに違いない。
しかし、その前評判は決して高くはなく、今年は青山学院大学、東海大学、駒大、そして明治大学が優勝を争うだろうという声が圧倒的に多かった。蓋を開けてみると、レース展開は「カオス」になったのだ。
箱根前哨戦でもある全日本大学駅伝でも、全8区間中6区間で先頭が入れ替わる展開だったが、箱根の往路区間も5区間中、4区間でトップチームが入れ替わる大激戦。しかも優勝候補の青学大が12位、明大が14位で大苦戦という信じられない展開だった。
復路も時差スタートができたのが17校と昨年の12校を大きく上回って混戦駅伝を演出し、戦力格差が縮小傾向にあるのが見てとれた。実力伯仲の「戦国駅伝」と言われたのは第94回大会だが、今年のレースはそれ以上にその色を濃くし、箱根常連校の苦戦や有力選手の失速に加え、大学間の戦力の均衡化が進行しているように見える。
なぜここまで“大学駅伝の戦国化”が進んだのか?
チーム全体の底上げを重視した“中堅ならではの取り組み”
まず第一に、各大学の強化の取り組みが実を結んできたことが挙げられる。
エリート選手が入ってくる強豪校では、春は個々が挑戦する種目に力を入れ、夏合宿から駅伝仕様に仕上げていくケースが多い。練習はデータ化され、タイムや練習の消化率を見ることで「箱根でどのくらい走れるのか」を判断できるようになっている。
一方、創価大を含め中堅どころの大学は基本的に春からロング走を主体としたオーソドックスな練習を取り入れているところが多い。それは、箱根の20キロを走る力を養うのに必要な練習であるのと同時に、エリート選手が入ってくる強豪校とは選手のレベルに差があるから。そのためチーム全体の底上げを重視し、春先から選手を走らせて脚を作り、距離を走れる選手を育成していく。
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