「小池さんの言動」
「女性蔑視」発言で性別、国籍、年齢を超えて沸き起こった「森辞めろ」の大合唱。スポーツ選手や芸能人までもがそれに賛同したわけだが、最も痛烈な一撃となったのは東京都の小池百合子都知事の言動だという。そして水面下ではすでに会長職の後任探しが始まっているというのだ。
官邸のあるスタッフによると、 「小池さんの言動がとどめを刺したような感じがしますね。すでに森さんの後任をどうするかという話が進んでいます」 「小池さんの言動」とは、具体的には10日の以下のことを指すという。 《東京五輪・パラリンピックに向けた国際オリンピック委員会、政府、東京都、大会組織委員会の4者によるトップ会談について、東京都の小池百合子知事は10日、記者団に「今ここで4者会談をしてもあまりポジティブな発信にはならないんじゃないかと思うので、私は出席することはないと思う」と述べた。組織委の森喜朗会長による女性蔑視発言を受けた。都によると、森会長の発言をめぐって、9日夕までに1405件の抗議のメールや電話が都にあった。都市ボランティアの辞退も計97件に上っているという。小池知事は記者団に「まずはコロナを抑えて盛り上げていくという中でこれだけ皆さんに不快な思いをさせてしまって、開催都市の長として、とてもとても残念に思っている」と語った。4者会談は17日で調整されていた》(朝日新聞デジタル 2021年02月10日) 「森さんの発言が国内だけの問題なら鎮火できたのですが、世界に伝播した今となっては、誰かが責任を取らずにコトを進めるのは難しい状況です」(同) 改めて、ここに至るまでの経緯を振り返っておこう。 発端は、2月3日のJOC臨時評議員会での森会長の発言だ。
加速した逆ギレ
《女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います。女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります》 さらに続く言葉を読んでいくと、本意としてはその場にいる女性たちへのリッピサービスの類であると取れる。 いかにも森会長らしい軽口、と慣れた人なら受け流しただろう。 が、問題は世間がそこまで彼にシンパシーを持っていなかったこと。引用したスピーチの前段部分のさらに一部がフレームアップされて「女性蔑視」だと猛反発を受けることとなる。 翌日、森会長は釈明会見に臨んだのだが、そこで墓穴を掘ってしまった。 「深く反省をしている。発言をいたした件については撤回をしたい。不愉快な思いをしたみなさまについてはお詫び申し上げたい」と謝罪はしたものの、個別の記者からの質問にいらだちを隠さなかった。 「いくつかうかがわせてください」という問いには、「いくつかじゃなくて、1つにしてください」と応じ、「オリンピック精神に反する。そういう方が組織委の会長に適任なのか」と問われると、「さあ? あなたはどう思いますか」と逆質問。「適任ではないと思う」と返されると、「じゃあ、そういう風に承っておきます」となった。
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